1月10日から約3週間にわたり天津で実証実験を行い、外部関係者を招待して見学会を催しました。

滞在の前半は、共同研究を進めている天津理工大学のキャンパスを利用し、老人施設での前実験を実施。後半では、大規模な老人施設での自動運転技術の実装を目指し、天津滨海新区老年第一养护院で実験を行いました。

【天津滨海新区老年第一养护院】
敷地面積5万5千平方メートルに及ぶ北京・天津・河北地域で最大かつ総合的な高齢者介護施設です。高齢者が安心して生活できるよう、施設内の全ての建物はバリアフリーに整備され、建物監視システムや緊急通報システムも導入。さらに、周辺の包括的な病院と連携し、「医療と介護の一体型」モデルを取り入れ、入居者に総合的な介護サービスを提供しています。



今回、天津滨海新区老年第一养护院の代表者や関係者、そして各企業・大学の教授を招待し、施設内で3台の車両を同時にデモンストレーションしました。自動運転技術の様々な応用を施設内で実証し、参加者に先進的な技術の可能性を実感していただきました!


各車両の実験内容を詳しく紹介します!
【実験車両1】FUTU-RE Delivery Vehicle (通称FTD)
デモ参加者にデリバリー・ビークルのコンセプトを紹介し、将来の実装環境で車両のデモンストレーションを行いました。



ボディのデザイン、ソフトウェアシステムは前回から変更されていませんが、最新バージョンでは、障害物検知の向上が施され、カスタムUIを導入して初めての運転を無事成功させました。2D LiDARの導入によって、障害物検知のパフォーマンスが向上し、 今後は3D LiDARの検知に重点を置いて開発を進めていく予定です。
【実験車両2】Senior Mobility Vehicle(通称SMV)
最新のハードウェアと開発中のソフトウェア・プラットフォームを活用した初めての実地実験で、公の場で乗客を乗せ、初の自律走行をシミュレートし、シニアモビリティのコンセプトを実証しました。同時に、生体データを記録しながら乗客を運び、テストコースでは施設内の主要な進入路において自立走行による経路追従にも成功!


当社のR&Dチームメンバーは、3Dプリンターのプロトタイピングに特化したパートナー企業と協力して開発した、最新のボディデザインをお披露目することを楽しみにしていました。
ローカライゼーション、進路計画、障害物検知をクリアし、施設のゲート近くから敷地の北側にある病院施設まで乗客を乗せて自律走行し、Uターンして戻ることに成功。 さらに、将来の実用化を見据え、施設内で詳細なテストを行い、その結果に基づいて車両デザインを調整しています。特に、高齢者の利用を想定し、静かでスムーズな乗り心地の実現に向け日々研究に励んでいます。


【実験車両3】Medicine Delivery
こちら施設内各部屋の利用者に常服薬の配達を想定した自立走行型運搬車で、メカナムホイール(注1)の使用により施設内の狭いスペースでも全方向移動が可能です。 柔軟な移動や作業がスムーズに行え、施設職員の作業効率向上と負担軽減が期待できます。

実験期間中は、施設建物内の廊下という狭いスペースでメカナムホイールの操作性を向上させる調整を行い、その後参加者へデモを実施しました。2023年4月にオランダでの展示会 Automotive Week 2023 でも同様のデモンストレーションを行い、参加者からはメカナムホイールの操縦性に対する高い興味が寄せられ、今後の自立走行技術に期待する声がよせられました。今回も参加者から将来の展開へ期待感に満ちたフィードバックを得られました!

招待客を招いてデモンストレーションするという初めての機会で、現地の方と未来のモビリティについて考え、意見交換できる有意義な時間を過ごしました。
参加者からの感想をシェアします!

「利用者の部屋から施設内の配達ボックスまでの距離が遠く、かつ荷物が重いため、現在は看護師に依頼しています。Delivery Vehicleを導入すれば、看護師の負担を減らせるのではと考えています。」
「自立移動車両の導入で、老人施設の人手不足や看護師の高齢化の問題が解決しそう。今後の開発が楽しみだ。」


「自立移動車両の導入で、老人施設の人手不足や看護師の高齢化の問題が解決しそう。今後の開発が楽しみだ。」
第2回の実験期間では、エンジニアチームが各自の能力を発揮し、現在の開発進捗を向上させるアイデアや次のステップを見出すことができました。参加者からのフィードバックを受け、今後は実導入に向けて現段階のプロトタイプから実製品の開発を加速します!


これに加えて、複数の目的特化型車両導入からサポートサービス、一連のヘルスケアなどを含む高齢化社会へのソリューションパッケージを提案する「Total Vehicle Management」のコンセプトを実現するため、車両の相互通信システムの開発も予定しています。
私たちの車両は高齢者介護施設をより快適な場所にし、利用者と職員の日々の生活の質を向上させることを目標とし、車両の実導入が利用者や通行人とどのように関わりあうかに焦点を当て、研究開発を進めていきます。
今春に、中国内の展示会「第七届世界智能大会」に出展し、2回目のデモを開催予定です!

新しいモビリティの未来に共にワクワクしましょう!
